変容し続ける世界の中で生き抜くために、21世紀型スキルが求められています。21世紀型スキルを身に付けるためには、小学生の段階からSTEAM教育を受けられる環境が理想的です。今回は、小学生がSTEAM教育を取り入れるメリットをご紹介します。STEAM教育を通してさまざまな能力を上げ、未来の世の中に必要とされる人材を育てましょう。

【この記事の目次】

子供には、時代にあった教育を受けさせたい!

子供の教育における最善の形は、時代や社会の変化とともに変わっていきます。例えばグローバル化が推進されるにつれて英語教育が組み込まれたり、コンピューターやインターネットの利用が一般的になるにつれてデジタル領域の教育が組み込まれたりするといったことが挙げられます。子供が時代に合った教育を受けることで、今だけでなく将来的に役立つスキルを育むことが可能です。とくに昨今では、仕事や職業に関する常識も目まぐるしく変化しつつあり、昔のように一つの会社で定年退職まで働くことが当たり前ではなくなってきましたよね。

終身雇用と年功序列が当然ではなくなっている現代では、想像力やコミュニケーション能力などのようにさまざまな分野で活躍できる総合的な能力に注目が集まっています。その上で、さらにITやWebに強い専門技能を子供に身に付けさせれば、保護者としても安心感が高まるものです。

具体的に子供にどのような教育を与えるのが良いかと考えたとき、現在高い注目を集めているのがSTEAM教育です。STEAM教育は子供がこれからの時代を生き抜くために必要なスキルを会得できるようになっているため、概要を理解しておくといいでしょう。

STEAM教育とは?

STEAM教育とは、技術革新が進む世の中で生まれた新しい教育概念です。科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・芸術(Art)・数学(Mathematics)の5つの科目の頭文字を合わせて名づけられました。子供のワクワク感を刺激しつつ、「知る」と「作る」のサイクルを生み出す分野横断的な学びができる点が特徴です。

IT化が進む昨今では、順応力や競争力が高い人材が求められています。そのため、STEAM教育を通して子供の能力をサポートし、将来的に世の中で必要とされる人材を育てる必要があるのです。これからの時代は、社会とテクノロジーの関係がますます密接になっていきます。未来の世の中を担う子供たちには、STEAM教育における5つの領域への理解と学びを具現化する能力が求められるでしょう。

5つの要素を組み合わせた『STEAM教育』

STEAM教育では、以下の3つの能力が身に付くと期待されています。

  1. 課題を自ら見つける能力
  2. 物事をさまざまな面から捉え解決する力
  3. 新しい価値を創造する力

体験の中で子供たちが自分の視点でそれぞれの課題を見つけ、オリジナリティにあふれた発想で問題解決を想像・創造し、実現していく手段が養われていくのです。

ここからは、STEAM教育において重要視されている5つの領域についてご紹介します。文系理系のカテゴリーに限定せず、特定の学習ジャンルを超えて学べることがSTEAM教育の特徴や魅力だといえるでしょう。

科学(Science)

STEAM教育における科学の領域では、自然現象や物理について学びます。例えば太陽光や電磁波についてや、熱のエネルギー反応などです。身近な現象がどのように発生するのかを理解すると、科学分野への知見と興味を深めて創造力につながるでしょう。

知識や技能を育むだけではなく「なぜ現象が起こるのか」を考えて理解すると、問題解決能力が養われます。さらにSTEAM教育の中で自然を愛することの大切さも学べ、地球と共存するためには何が必要なのかを考える力も身に付きます。この能力は、さまざまな災害や資源問題を抱える地球を支えるために必要なものです。

技術(Technology)

STEAM教育の技術の領域においては、科学を役立てて実際にものを作る学習を行います。IT化・AI化が進む昨今では、最新の技術への理解を示したり実際にスキルを身に付けたりすることが求められているため、流動的に変化し続ける世界に対応するためにはテクノロジーを活用できる能力が重要です。

工学(Engineering)

STEAM教育における工学とは、主にものづくりのことを指します。工業に役立てることを想定しながら、新しい製品や技術について研究して知見を深めることが目的です。学校によっては、機械設計や機械工作なども学びます。

知識を持っているだけでは、製品は生まれません。実際に作る技術を身に付けながら過程を学ぶことにより、社会をより良いものにしていくための知見を得られるのです。STEAM教育では新しい製品の開発だけではなく、既存の製品や技術を改善し社会に役立たせる能力を目指します。

芸術(Art)

STEAM教育における芸術の幅は広く、一般的なアート(絵や小説などのクリエイティブな芸術品や歴史)だけではなくリベラルアーツや文化、政治・生活・経済などを総合的に学びます。芸術が生まれた背景にある歴史やライフスタイル、倫理を学ぶことで、芸術という概念を理解しやすくなるのです。

STEAM教育では実際に自分でデザインする能力を軸に学び、芸術がもたらす社会への影響や自己実現・自己表現力などを養います。芸術への理解が深まることで独創的なアイデアを生み出す能力が育まれ、ダイバーシティが推進される世の中で自分らしさを表現できる人材となることでしょう。

数学(Mathematics)

STEAM教育における数学では、空間図形の性質や数量などの研究を通して、論理的思考力や空間把握能力を養います。世の中で起こるすべての事象は、偶発的な要素が多分に含まれているように見えながらも、必ず原因があります。数学で培われる論理的思考力は、既に起きた出来事やまだ起きていない出来事を推測・分析して考える能力として活用されるものです。

STEAM教育で論理的思考力を身に付けると、目標達成までに必要な要素や時間が推測でき、達成率を上げられます。自分で課題を見つけるだけではなく、クリアするための方法を考えられるようになるでしょう。